社会人になると、途端に勉強や読書をしなくなるという方って実はかなり多いのではないでしょうか。
総務省統計局によると、平成28年の社会人の1日当たりの平均勉強時間はたったの6分であり、他社のアンケート調査では、1か月で本を1冊も読まない人が、全体の約40%を占めている、ということが分かっています。
例にもれず私もその一人で、勉強も読書もほとんどしていません。
そのため、いざやろうと思っても、
- 資格の勉強を始めたものの、毎日継続することが出来ない
- 読書をしても 1冊読み切るまでに時間がかかる
- そもそも本を読み切れずに途中で飽きてしまう
このようにうまくいかず、挫折してしまっていました。
この記事では、独学・読書初心者の私が、独学大全(著者:読書猿)を実際に読んで参考になったポイントを5つ選出し、同じ境遇や考えの方に向けて、解説していきます。
書籍のタイトルを見ると独学に限ったことのように思えますが、読書やそのほかのことにも応用できるテクニックもありますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
手に取った理由
独学大全を執筆した読書猿さんは、昔から読書が苦手で読み始めても20分ほどですぐに飽きてしまっていた、とインタビューで述べています。
本人曰くまだ独学者として悪戦苦闘しているとのことですが、そのような性格ながらも、努力し知識を深めており、その姿やお話に共感し、この人の本を読んでみたいと思い、手に取ってみました。
実際読んでみると、読書猿さんがそうだったように、
あまり賢くなく、飽き性な人に向けて実践的なテクニックが書かれており、あまり読書をしてこなかった私でも、スラスラと読める本となっていました。
独学大全の使い方
見たことがある方は知っていると思いますが、「大全」というだけあって、辞書並みに分厚い書籍です。
上に乗せた書籍は約250ページほどのビジネス書ですが、独学大全はその3倍ほどの厚みがあるのに、値段は税抜き2,800円と驚くほど安価でした。
最初に断っておきますが、ざっくり目を通しただけの項目もあり、完全に読み込めてはおりません。
ただ、一つの章、一つのテクニックがそれぞれ読み切りとなっていますので、本当に辞書のように、気になったところから読んでいくということが可能です。
また、巻末に付録されている「独学困りごと索引」では、例えば、
- 自分の頭の悪さを嘆きたくなったら…〇ページ
- 集中が続かなかったら…〇ページ
といったように、今の自分の状態にベストなページをさっと探せるようになっているので、手元に置いておくだけですぐに役立てることが出来ます。
おすすめポイント5選
それでは参考になったポイント5つを、解説していきたいと思います。
「分からない」を分類し現状に合った手を打つ、「わからないルートマップ」
勉強をしていて、「分からない」という状態になったら、自分が下記3つの段階のうち、どこにいるかを見極め、適切な手を打っていこうということです。
①不明型の「わからない」
②不定型の「わからない」
③不能型の「わからない」
順番に解説していきましょう。
①不明型の「わからない」
分かることが何もない。何が分からないかも分からないという状態。
この段階であれば、分からないところをいくつかに分割し、その一つ一つについて意味を調べたり解釈を仮にでも決めてみることが大事である。
自分の体験談として例を出すと、本を読んでいく中で良く分からない文章が出てきた場合、
そもそも分からない単語が多すぎて文章が理解できないということがあります。
そのため、一つ一つの単語に分割して意味を調べて、仮でもいいのでこういう意味の文章になるかなと解釈をしてみる、という手順を踏むと良さそうです。
②不定型の「わからない」
部分部分の意味は分かるけれど、色々な解釈がありすぎて良く分からないという状態。
①と同じ例を使うとすると、単語の意味は調べたけど、その単語が色々な意味を持っていて、どれが適切なのか分からない、という段階です。
この段階では、ありえない単語の組み合わせを排除するなど、何となく日本語的に意味がつながる文章を作れるように、おかしいところを修正していくという手順を踏んでいきます。
③不能型の「わからない」
大筋は理解できるが、若干矛盾や不整合が生じている状態。
この状態であれば、分かっていることをいったん置き、①と②を再考して行くことが大事です。
また最初から考え直すのか…と思うかもしれませんが、全くのゼロからやり直すというわけではなく、一度解釈した文章の中の、一つの単語を違う意味に変えて読み直してみるなど、
イメージとしてはブログの記事を数か月後にリライトするように、ブラッシュアップしていく感じかなという印象です。
分かったつもりを繰り返し壊す
このように①~③の手順を踏み、「分かったつもり」で終わらせず、一度固まった思考を壊して考え、壊して考えを繰り返すことが、知識を付ける上での重要事項となります。
やる気が出ないを吹き飛ばす「2ミニッツ・スターター」
勉強とか読書とかしたいけど、どうしても今日はやる気が出ないなぁという時、タイマーを2分セットして、2分だけやってみましょう。
2分経ったあとは途中でも必ず作業をストップし、2秒で次の行動を下記から決めます。
①時間制限なしで同じ作業を続ける
②また2分タイマーをセットし、違う作業に取り掛かる。
③作業をやめて休憩する
2ミニッツ・スターターには様々なメリットがありますが、まず第一に「着手する」という大きなメリットがあります。
勉強しなければと思うと、中々着手するまでに時間がかかったりした挙句、結局その日はやらないといったこと、私もざらにありますが、たった2分で良いと思えばハードルが下がり、物事に着手しやすくなります。
さらに良いことに、人間は中途半端な状態で中断した作業に対し、最後までやりたくなってしまうという心理が働きます。(オヴシアンキーナー効果と言うそうです)
着手してしまえばこっちのもの、そのままやめてしまっても、2分だけでも積み重ねれば大きな時間になります。
まずは手を付けるという大きな一歩のために、実践したい技術ですね。
本の知識をより深める「会読」
会読とは、複数人で決められた1冊の本を読み、指定した日時にそれぞれの感想などを共有する、読書討論会のことを言います。
大きなメリットとして挫折しにくいということが挙げられます。
一緒に読む人がいること、期限があり自分の考えを発表しなければならないことなど、人の目があることで最後までやり遂げることが出来ます。
また、分からない部分を質問することが出来、他人の考えから知識を吸収できることも学ぶという意味では効果がとても大きいです。
最近は人と会うことも躊躇われますが、ZOOM飲み会ならぬ、ZOOM会読、というのもありでしょうか。
ただ、会読仲間が見つからないというケースも多いでしょう。
その場合は、ぜひ本を読んだ感想をSNSなどで発信してみてください。今私がブログでこの記事を書いているのも一人会読です。
誰かが見てくれることで、それがプレッシャーにもなり、より本を読み込むことが出来ます。
また、もし良ければ皆さんもこれを読んだ感想や、私もその本読んだけど、その解釈違うんじゃない?というのをコメントいただけたら、大変うれしいです。
積読対策、必要なものだけ読み取る「掬読(きくどく)」
掬読とは書籍から、自分の必要な部分だけを選び出し読む技術のことで、英語ではSkimming(スキミング)と言います。
このパートで個人的にとても面白かった点は、スキミングの意義について、
スキミングとは「どのようにして必要な部分を見分けるか」というテクニックというよりは、「必要なところだけを(まずは)読めばいい」というスタンス、割り切り方にある、という主張です。
他の本にもよく書かれますが、本は最初から読まなくていいと言われても、私としては、「そうは言っても最初から読みたいし」という思いがありました。
しかしこの考え方に加えて、独学大全自体が辞書のような使い方をする、つまりスキミングが出来るように作られていますので、実際にやってみて、最初から読むという凝り固まった考えが少し解かれた気がします。
また、私は本を買っても読まずに置きっぱなしにして、最終的に積読になってしまうことも結構ありますので、とりあえず読みたいところだけ読む、ということを心掛けたいと思います。
書籍を読んでも1、2割程しか覚えられないという話も聞きますし、今の自分に必要な部分だけ、無駄に時間を使わないように拾っていくのも大事な考え方ですね。
自分の独学法を生み出す「メタノート」
勉強用とは別のノートを用意し、独学の中で得られた気付きを記録していく。
こうすることで後で読み返したときに、自分の変化に気付き、自分を第三者視点で見つめ直す、メタ認知力が向上していきます。
ノートに書く内容は、アイデアでも愚痴でも振り返りでも何でもいいそうです。
独学というのは自分のペースで自由に出来るからこそ、自分と向かい合うこと、そして自身の学びを高いところから眺める視座が必要となります。
また、このように書き留めた自分の歴史は、自分にとって最良の独学法を生み出すヒントとなり、唯一の独学大全となることでしょう。
最後に
独学大全のサブタイトルとして、絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法、と書かれています。
自分に合う独学法を学ぶにあたって、紹介した以外にも多くの技術や考え方が載っていて、とても参考になりました。
また書籍の中で、学ぶことは自分を変えることであり、自分が変われば今は最適な勉強法もそうではなくなる、と述べられています。
そういった意味でも、本棚に入れておいて損はない1冊ですので、ご興味がありましたら是非お手に取ってください。
以上、参考になりましたら幸いです。
長文でしたが最後までありがとうございました。
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